みなさん、こんにちは。
これまでドイツで新しい職業に挑戦出来るという、職業転換訓練(Umschulung)についての記事をいくつか書いてきました。
しかし、有名なのは職業訓練(Ausbildung)ですよね。
今回は、私がしている「職業転換訓練(Umschulung)とドイツで有名な制度、職業訓練(Ausbildung)の違い」と、「どっちを選ぶべきなのか」をまとめてみました。
ドイツで出来る職業転換訓練(Umschulung)についてはこちらの記事をご参照ください⇩
ドイツで新しい職業にチャレンジ!Ausbildungと同じ資格が取れる、2年間の職業転換訓練(Umschulung)について- これからドイツで新しい職業に挑戦したい人
- ドイツで職業訓練(Ausbildung)をする予定の人
- 職種転換訓練(Umschulung)や職業訓練(Ausbildung)に興味がある人
なお、記事内では、職業転換訓練のことをUmschulung、職業訓練のことをAusbildungと記載します。
名称がドイツ語記載ですので覚えにくい、と言う方は色で区別してもらうと分かりやすいと思います。
- 職業転換訓練(Umschulung)は青色
- 職業訓練(Ausbildung)は赤色
また、一番最後の段落「最後に…」では、現在職業転換訓練(Umschulung)をしている「今の私」ならどちらを選ぶかという内容も記載しています。
最後まで情報詰め込みましたので、ご覧いただけると嬉しいです。
目次
UmschulungとAusbildungとは?
Umschulungとは、別分野の職種に転職するための新たな技能や前提条件を身につけることです。
Umschulungでは合計2年間勉強することになり、内1年6カ月は教育機関で理論の勉強と、残り6カ月はある企業でインターンシップをして実践を経験するしくみになっています。
Umschulungの場合、就職斡旋機関もしくはジョブセンターに申し込み、教育支援のためのクーポン券みたいなもの(Bildungsgutschein)を貰います。
それを教育機関に出すことにより、無料で教育機関でUmschulungが始められるという訳です。
そのためUmschulungの場合、就職斡旋機関もしくはジョブセンターがあってこそのものなのです。
国が授業料を補助してくれるので、自己負担がないところが魅力です。ただし、お給料というものはありません。
Umschulungを始めるには条件がいくつかあり、18歳以上の職業訓練をすでに終えている人(大卒可)が対象のため、高校卒業してすぐの人は残念ながらできません。
そのため、一度何かしらの職業を経験している人が違う種類の職種をしたい、という場合に使える制度なのです。
Umschulungを始めるための詳しい条件や注意点については別記事に記載していますので、下記記事をご参照ください↓
Umschulungはお給料がないけれど、自己負担もなし。
ただ、選べる職業がAusbildungに比べて少ないし、勉強する期間が短いので短期集中型の人が向いているように思います。
読み方が分からない方のために:Umschulungは「ウムシュールング」と読みます。
Ausbildungとは、ある職業につくための訓練ができる制度で、理論と実務を並行し学ぶことができます。
Ausbildungでは、合計2~3年間勉強することになります。人によっては最大2年まで短縮可能です。
企業の元で基本的には週2~3日仕事をし(実践)、残りの日は職業学校に通って勉強する(理論)というしくみになっています(数週間単位で企業で毎日実務、職業学校で理論というところもあるようです)。
このタイプはDuale Ausbildungと言って、理論(職業学校)と実務(企業)を並行する形のAusbildungです。
企業の元で仕事をするため、職業によりますがお給料を貰えます。お給料と言っても職業によってはお小遣い程度の金額の場合もあるようです。
Ausbildungを始めるためには、まずAusbildungをしたい企業に応募し採用されなければ始められません。
それとは別に、Schulische Ausbildungと言って、基本は理論のみのAusbildungもあります。この場合、職業学校かどこか専門の学校で学ぶことになります。
このような学校のみの場合、もしかしたら費用を自己負担しないといけないかもしれません。
有名で多くの人がしているのはDuale Ausbildungの方です。当記事では、このDuale Ausbildungに基づいて説明していきます。
Ausbildungは、「アウスビルドゥング」と読みます。
UmschulungとAusbildungの違い
UmschulungでもAusbildungでも、最終試験に合格すれば「IHK」と呼ばれるドイツの商工会議所が発行する資格「職人証書(Gesellenbrief)」を貰うことが出来ます。
そのため、どちらを選んだとしても最終的に受ける試験の内容は全く同じものです。
ただ、試験内容や試験日等は、受験される州によって異なります。1年に2回試験が開催されており、夏と冬のどちらかに受けることになります。
Umschulungを紹介した記事でも掲載しましたが、今一度UmschulungとAusbildungの違いを箇条書きでまとめてみました。
職業転換訓練(Umschulung)
- 計2年間続く
- 雇用先:就職斡旋機関もしくはジョブセンターおよび教育機関(職業転換訓練を提供している機関で、就職斡旋機関やジョブセンターから資金を貰い経営している)
- 申請先:就職斡旋機関もしくはジョブセンター
- 収入:給料なし(資金的支援が必要な場合、生活保護や失業手当の受給あり)
- 費用:なし(自身で負担する費用0)
- 勉強の形態:1年6カ月間は教育機関で理論を、6カ月間はどこかの企業でインターンシップ
- 条件:18歳以上の職業訓練をすでに終えている人(大卒可)+他(参照:別記事)
職業訓練(Ausbildung)
- 計2~3年間続く
- 雇用先:一般企業
- 申請先:一般企業(職業訓練をしたいところの企業に自分で応募)
- 収入:企業から給料あり*(*金額には職業によっても異なり、全くでない場合もあり)
- 費用:交通費等はおそらく自己負担、福利厚生費は給料より引かれる
- 勉強の形態:週に2日職業学校(Berufsschule)で理論、週3日は企業で仕事(実践)
(場所によれば異なったスケジュールのところもあるよう) - 条件:企業に採用される必要あり
大きな違いは、給料の有無・訓練期間の長さ・勉強の形態です。
特に勉強の形態には個人の好みが分かれるところだと思います。詳しくは、次の「それぞれの特徴」で見ていきましょう。
それぞれの特徴
Umschulungの一番の特徴と言えば、やはり「理論が多い」ことだと思います。
理由として、合計2年間勉強する中で講義形式で理論を学ぶ期間が1年6カ月と、全体の4分の3を占めているからです。
では全く実践が無いのか?というと、実はそうでもないのです。
これは選ばれる職業によるかもしれないのですが、私がしているプログラマーのUmschulungでは、ITに関連する講義であれば実際にコードを打ったり、小さなプログラムを開発したりという実践的な内容が講義の中でありました。
ではなぜAusbildungに比べると実践が少ないのかと言うと、Ausbildungに比べUmschulungは常に企業の元で実際の仕事を体験することができないからです。
ある企業の下でインターンシップが出来るのは集中して6カ月間のみ。
その間に(これも職業によるかもなのですが)、プログラマーのUmschulungの場合ではIHKの最終試験(口頭試験)のためのプロジェクトを実施しないといけないのです。
このプロジェクト以外は、会社から言われた仕事を行います。
教育機関で学ぶ内容は職業に関係する専門的な講義とWISO(経済と社会について)の講義があります。これはAusbildungでも同じです。
Umschulungでは学科が常にブロック単位で、WISOの講義が3週間連続ということもあったりします。
Ausbildungであれば、週に何日かは企業で働くため毎日新しい知識が入るという訳ではなく、実践と理論を混ぜて勉強できるため、気持ち的にも息抜き出来るのです。
毎日新しい知識を詰め込んでも問題がない方はUmschulungでもやっていけると思います。
メリットとしては、やはりAusbildungよりも早く終えることができること。そして、クラスメートの年齢層がAusbildungに比べ高いことです。
Umschulungは一度何かの職業を体験した人という条件があるため、一番若くても21歳になります。
私は始めた時がアラサーで、10代後半20代前半の若い人達に埋もれなくてよかったと思ったこともありました。
また、Umschulungをしている人の中には違う職種を経験している人が多いので、色々な経験談を聞けるというところもメリットです。
ただUmschulungをする人がAusbildungをする人に比べかなり少ないため、クラスメートの人数が10人もいかないなんてことはザラだと思います。
Ausbildungの特徴としては、やはり「理論と実践」を均等に勉強できるところだと思います。
そして、Umschulungに比べて選べる職業がかなり多いところです。例えば、パン職人のような職業はUmschulungにありません。
お給料が出る場合があるというのも特徴の1つだと思います。
ただ職業によっては全くでなかったり、月400ユーロとお小遣い程度しかもらえない職業もあります。
Ausbildung中でも比較的まだ高めのお給料を貰える職業は、プログラマーなどのIT系です。
「Ausildung.de」というサイトで職業別の給料が見れたり、Ausbildung先を調べたりすることができるのでおすすめです。
Ausbildungをする人の多くは若い人が多い印象があります。
しかし、私のように移民としてドイツに住んでいる人達の多くは日本で学校を卒業してからくる人が多いですし、アラサーでもアラフォーでもAusbildungに挑戦される方はもちろんいます。
それに、何歳からでも新しいことを始めることはとても素晴らしいことだと思いますので、年齢を気にして始めないのは勿体ないことだと思います。
UmschulungとAusbildung、迷った時のポイント
私が選んだ際のポイントとしては、できるだけ早く職業訓練を終えること!でした。
日本で大学を卒業してあること、そしてまた長い期間学校で勉強したくなかったのが一番でした。また、数年以内に子どもが欲しいと考えていたからでした。
Ausbildungの場合、速い人で2年間で終えることができますが基本は3年間です。
Umschulungの場合は最大2年間なので、始める前から既に期間が分かっているんですね(例外:最終試験に落ちて再度受験する場合は半年伸びる)。
私のように、子どものために年齢を気にする・どうしても早く終えたいという必要がある場合はUmschulungでいいのではないかなと思います。
またAusbildungの場合、職業学校の同じクラスになる人達の年齢層が20代前半と比較的若い傾向にあります。
反対に、Umschulungの場合は18歳以上で既にAusbildungなどの職業訓練を終えている人が前提となっているので、若くても21歳以降の人しかいません。
私のクラスメートは一番若い人で22歳、一番年上は45歳と年齢差が激しいです。
もしご自身の年齢がどうしても気になるという方でもUmschulungでは気にする必要はありません。
実務・実践を重視したい!という人はDuale Ausbildungを選んだ方がいいです。
「職業訓練(Ausbildung)とは」のところでも説明しましたが、
Duale AusbildungとSchulische Ausbildungがあり、Duale Ausbildungの方では理論と実務の並行ができますが、Schulische Ausbildungの場合は理論が多め。
つまり、Schulische AusbildungはUmschulungと似ているのです。
そのため、実践を重視する方はDuale Ausbildungがおすすめです。
なぜ理論と実務を並行するのがよいのかというと、
- 企業で実際に仕事で使われていることを学べる
- ビジネススキルも同時に身につけられる
- その分野の知識に常に関わることができる(IHKの試験には職業とあまり関係ないことも習うため)
- 理論のみの場合、週5日間常に新しい知識を学ばないといけない
- 実践が少ないと知識が頭に定着しにくい
特に3つ目の「その分野の知識に常に関わることができる」に関しては、通常のDuale Ausbildungでしか得られないメリットだと思います。
Umschulungの場合、6カ月間はインターンシップがあるので実践も後々体験できるのですが、その期間に企業が持っているプロジェクトしか経験させてもらえません。
Ausbildungの場合は3年間の間に様々なプロジェクトに参加させてもらえる機会があるのため、Umschulungに比べて実際の仕事内容が想像しやすいです。
UmschulungとAusbildungのどちらでも選べるという人で、どうしても迷った場合にはこの2つのポイントを参考にしてもらえるといいと思います。
最後に …
UmschulungとAusbildungの違いをご理解いただけましたでしょうか?
改めて申しますが、私が現在しているのはUmschulungの方です。そう、国から補助もらっている方です。
私は企業の下でAusbildungをしたことがありませんが、UmschulungとAusbildungは厳格に言うと名前や形態が違いますが、基本的にはやることは同じのためまとめてAusbildungと呼ばれたりもしています。
今後どのようなことをしていきたいのか、ご自身の希望や状況によって選ばれるのが一番。
その場合の参考として、当記事がお役に立つととても嬉しいです。
最後に、現在Umschulungをしている私が今もしUmschulungかAusbildungを選べるならどちらを選ぶかというところをお伝えしたいと思います。
今の私でも、Umschulungを選ぶと思います。
理由としては、
- 年齢がアラサーであること
- 近いうちに子どもが欲しいという希望があること
- 合計にかかる時間が2年間であること
- 私がしたい職業がUmschulungにあり、経済的な不安もないこと
でも、もし私が25歳以下であれば迷わずAusbildungを選んでいたと思います。
私がUmschulungをしていて良かった・悪かったことについての記事も別途書きたいと思っています。
いや、私はAusbildungをしたいんだ!という方にも、私が訓練中の経験してきたことがきっと参考になると思いますので、ぜひ別記事もお待ちいただけると嬉しいです。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。
新しい記事の更新通知を受けるためにも、ツイッターのフォローお願いします☺